



------祐天寺で文房具店を構えることになった理由を教えて頂けますか?
うちは元々三軒茶屋で蕎麦屋をやっていたんですが、
東急東横線の拡幅で電車の本数も増えて来たという理由もあってこの祐天寺に店を構える事になったみたいです。
それが僕の生まれる前の話だから、47年前になります。

-------元々お蕎麦屋さんだったのに文房具屋とは、随分思い切った転身ですね。
聞いた話だと、三軒茶屋の蕎麦屋は戦後を挟んで20年ぐらいやっていたみたいなんですが、
その時隣が文房具屋だったみたいなんですよ。
隣の畑が良く見えたんですかね~(笑)
-------祐天寺での思い出があれば、教えてください。
思い出かあ~…。俺にはそんな語るネタがないんだよ~~~。
市塚さんとこの奥さんは小学校、中学校の先輩なんだけど、
あの人みたいに多弁だったらいいんだけど…。
一昨年、わんこそばの大会をやったんだけど、市塚さんの奥さんが主催したのに、
奥さんが優勝しちゃったんだから(笑)
そういう話が俺にもあればいいんだけどね~。申し訳ない!
------2代目ということですが、文房具屋を継ごうという意志はあったんですか?
もう刷り込まれてたからね。
早く社会に出たほうが得なんじゃないかな、
とも思ってたし。
中学校を卒業して15歳で働き始めたから、もう31年になるけど、
夜間の高校と大学に通いながら、この店の仕事をやってましたよ。

-------15歳という若さでこの仕事に入って、印象的な言葉がありましたら教えて頂けますか?
皆同じだろうけど“我慢”だね。
店ではひたすら怒鳴られながらだったから。
とにかく我慢しろ、ということを言われました。
「15歳の社会人1年生で何やらせたってできないし、お前より出来の悪いヤツはいない。
周りは皆先輩なんだから、何言われてもとにかく我慢しろ。」
「お客さんだって先輩だよ?お客さんだっていつも買い物に来てるヘビーユーザーだから、この店ではお前は素人同然なんだ。」
…と、今みたいなことを15歳で働き始めの頃に親父から言われてました。
まあ、「“謙虚”にいろ」ってことなんでしょうね。
…すいません!ネタがなくて本当に申し訳ない!あとは1階の親父に聞いて!
ここで、先代である廣太郎様のお話も伺いました。
------祐天寺で文房具屋を始めたのはお父様のときだと伺ったのですが?
若気の至りってやつだろうね。
蕎麦屋の親の跡を継ぐのが嫌だっていうバカ息子だったから。
それだけのことだよ(笑)

-------祐天寺の良いところはどんなところだと思いますか?
渋谷や新宿と比べて、町がやたらめったら変わらないってことだろうね。
ワタシは新宿の歌舞伎町で商売を教わったんだけども、その当時の歌舞伎町の事を考えると
もう日進月歩を通り越して、時間ごとに町が変わっていってるように見えた。
祐天寺は本当に長い時間が経っても変わらない。
大きな流れの中では多少の変化はあるのかもしれないけどね。
-------現在は康二さんが店を継がれているようですね。
自分の息子の事をあんまり良く言いたくはないんだけど、
アイツはちょっと変わってるヤツだよ。
入学から3ヶ月くらいで高校を辞めて、
「授業料は全部自分で責任持って出すから、昼間は仕事をやって、夜間の高校に行く」
と言い出した。
ワタシも、「できるもんならやってみろ!」と言ったんだけども、アイツは見事にそれをやり遂げた。
しかも、仕事が終わった後にただ学校に行くだけでなく、自分でサークル作ったり、生徒会長も務めたりして
良い高校生活を送れたみたいなんだよ。
それで、「高校も無事卒業したんだから、一生懸命仕事やってくれ」なんて思ってたら、
今度は「大学に行きたい」と言い出した。
塾に通ってても行けないヤツがいるのに、
無事に合格して授業料も入学金も自分で出して夜間の大学に通いだした。
ウチの店で働いて、くたびれた体で夜間の大学に行き、それでも見事に4年間で卒業した。
学生時代には全く遊ぶ時間がなかったから、貯金もしてたみたいなんだけど、
ちゃんと社会人になったらきれいになくなってた(笑)
なんだか知らないけどね(笑)
-------長くお店を続けていく秘訣などはあるんでしょうか?
ウチはもう息子に実権を渡してあって店のことは任せてるから、
本当のところは2階のお偉いさんに聞いてほしいんだけど、
中目黒や自由が丘で文房具屋の状況がどんどん厳しくなっていく中でアイツもいろいろともがいてる。
そういう中で商売を成り立たせるには、
地元のお客さんに可愛がってもらわなくちゃダメなんだ。
そのためにも、お客さんの要望してるモノを手を替え品を替え探して、
これがイケるんだってモノを見つけたら、それを推していく。これの毎日毎日の積み重ね。
もう商売じゃなくて、遊んでるんだよ(笑)
ウチは4時に起きて仕事が始まって7時半には店を開けるけど、それにも意味がある。
小学校の子どもたちが忘れ物なんかしても大丈夫なようにね。
それもお客さんの要望でしょう?
自分らの都合を考えるんだったら、そんな時間には大した人数も来ないし、10時ぐらいに開けても変わらない。
だけども、重要なのはそこじゃない。
秘訣は何にもないけど、まあ、しいて言えば
ヘソ曲がりでヒトと逆のことばっかりやってるからだろうね。

-------祐天寺の町の印象を教えてください。
田舎だなあ~って思うところかな。人情味があるっていうか。
こんなこと言ったら流行んないかもしれないけど、
極端な事言ったら、よその子でも親しくしてる人の所の息子なら
私はボコン!とやるからね。
今のご時世だと、子供の頭をコツン!とやっただけでも怒るでしょ?
だけど、子供の親からも「何かあったら遠慮なくやってくれ」なんて言われて、
親戚みたいな付き合いで親しくしてるヤツが何人もいる。
ワタシも遠慮や腹蔵なく言うから、子供達も一生懸命、通信簿やなんか持ってきて見せてくれる。

できないヤツにはやる気が出るように褒めてやるし、
よくできるヤツはできるヤツで、オール5なんて子もいるから、
そういう子には「いい気になるなよ。上には上がいるよ」って(笑)
だけどまあ、「おじさんが一番良かった成績よりも上だよ。大したもんだ」なんて
子供たちにも本当の事を話したり、その気になって聞くと、
子供も本当の事をしゃべるようになってくるから。
ワタシはそういうのは好きだね。
他にも、例えば誕生日やなんかにゲームを買ってあげたとするでしょ?
もらった子供はニコニコしてるんだけど、
帰る時に「ありがとう」の「あ」の字も言わなかったりすると
「お前何か忘れてるだろう?」と言うんだ。
そうするとちゃんと子供も気づいて「どうもありがとう!」と頭を下げて言ってくる。
人から物をもらったときにはお礼を言うという当り前の事を子供に教えるわけだよ。
そういう意味じゃあ、子供と親しくしてるけど、
あの親父はイヤだなって思われてる所もあるかもしれない。
でも、それは子供のためだし、何だかんだ言っても皆可愛がってるから。
子供が大好きだからね。
康二様の謙虚な姿勢と廣太郎様の子供たちへの愛情、
そして、父と子の深いつながりを感じることができた「文具のソーマ」。
インタビューの最中も絶えずお客さんが活発に行き交っていたこの店には、
相馬様父子の2代に渡る地元密着の取り組みが生きているのではないでしょうか。


文具のソーマ

住所:〒153-0052 東京都目黒区祐天寺2-2-10

TEL:03-3711-7767

営業時間:AM8:00〜PM20:00頃 土日祭定休


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